チャート式 遊戯王III・C 巻頭言 その先に何があるのか

生徒: 先生。僕たち今、こうしてデュエルのために遊戯王を勉強してるけど、いったい、その先に何があるんです?
ズー先生: その先って・・・デュエルに勝って、世界大会に出るんでしょ?
生徒: いや、そういうことじゃなくて・・・。僕は、コ●ミ社員になるわけじゃない。でも、デュエルをするためには、こうしてダメージステップでの発動制限だとか発動タイミングを逃すだとかやらなきゃいけない。それが将来の自分にとって必要なことなのか必要でないことなのかもよく分からないまま、とにかくデュエルに出るからやっている。でも、ときどき思うんですよ。たとえば、<《早すぎた埋葬》に《ロスト》でチェーン>を覚えたところで、これは、蘇生を妨害すること以外、将来の僕の何につながっていくんだろうか。そもそも、デッキにロストを入れる意味って何なんだろうかって。
ズー先生: あなた、世界大会に進みたいって言ってたわよね。
生徒: はい。自分が開発したコンボによって、今までできなかった1ターンキルができるようになったら・・・って。以前、そういうコンボを開発したデュエリストのインタビュー、ネットで見たんです。そのとき、「ああ、こういうのカッコイイ!」って思って、それで。えへへ、動機が不純ですかねぇ?
ズー先生: 全然不純じゃないわよ。今まで誰もやれなかったことをやる。それが、デュエリストにとって一番ステキなことだと思うわ。がんばって。期待してるわ。
生徒: でしょ。だから、三原式やデビフラ1キルの勉強には身が入るんですけど、レベル制限B地区とかエクゾディアとかになると、とんと身が入らないんですよ。
ズー先生: なるほど。あなたはきっとカッコイイデュエリストにはなれないわ。
生徒: えっ?どうしてですか?
ズー先生: 新しいコンボを発明、開発したり、新しい事を成し遂げたりする人が、必ず持っている「気持ち」というのがあるの。何だか分かる?
生徒: ・・・
ズー先生: 「オレのターン!ドロー!」と思う気持ち。「これで、ターンエンドだ」と思った瞬間、その人から新しい物事は決して生まれないの。
生徒: 「オレのターン!ドロー!」と思う気持ちかぁ・・・なるほど。
ズー先生: あなた、一番最初に言っていたわよね。「その先に何があるのか?」って。まさに、遊戯王を勉強する意味はそこにあるのよ。
生徒: どういうことですか?
ズー先生: 人間はね、「その先に何があるのか?」を知りたがる生き物なの。そうでなければ、チェーンもなければ、コンボも生まれなかった。数年前、それまでは<除外する>だけだった除外ゾーンから特殊召喚できるようになった。でも、それに満足できず、こんどはマクロコスモス・・・。「オレのターン!ドロー!」という気持ちのとどまることを知らない。それが、人間という生き物なの。あなたが持っている未来融合だってそうよね。つい数年前までは、融合召喚でしか特殊召喚できない融合モンスターを融合召喚するなんて思ってもみなかったのよ。それが今や、手札コストもライフコストもなしで使えるどころかオーバーロードフュージョンだって自由自在。
生徒: 人間って、できなかったことをできるようにすることや、手札になかったキーカードをドローすることに対して、すごく欲張りなんですね。
ズー先生: そうよ。だからね、先生は、そういうことに欲張りな人間ほど人間らしくてステキだと思うわ。そして、その人間の<欲>を満たすための最も鋭利な<道具>のひとつが、強欲な壺なのよ。三原式もデビフラ1キルも、強欲な壺なしには決して生まれなかった。だから、今あなたが勉強しているダメージステップでの発動制限や発動タイミングを逃すのも、将来、あなたが新しいコンボを生むための<道具>として役に立つかもしれない。もちろん、立たないかもしれない。でも、立つかもしれないんだったら、是非やっとくべきだとは思わない?あなたが本気でカッコイイデュエリストになりたいと思うなら、もっと欲張りにならなきゃ。
生徒: ふ〜む・・・。じゃあ、先生は今、何かに欲張りなんですか?
ズー先生: もちろんよ。
生徒: えっ、何にですか?教えてください。
ズー先生: そうね・・・、あなたが遊戯王CGIで10000戦を突破したらのお楽しみ、でどうかしら?