チャート式 遊戯王II 巻頭言 大人の遊戯王

生徒: 先生。恋をすることと、遊戯王の勉強をすることと、どっちが大切なことですか。
ズー先生: どっちも大切よ。でも、いまあなたにとっては遊戯王の方が大切ね。
生徒: どうしてですか?
ズー先生: う〜ん。恋は大人になってからもできるけど、遊戯王は今しかできないから。
生徒: なんだかへりくつだなぁ・・・だって、人間が生きていくうえで大切なことは、遊戯王よりも恋の方に詰まっているような気がするし、大人になっても遊戯王はできる気がする。
ズー先生: 人間が生きていくうえで・・・その通りね。でもね、それはもう少し先になってから考えた方がいいのよ。
生徒: どうしてですか?
ズー先生: 人間が生きていくって、きっと、今あなたが考えているよりもずっとずっと難しいことだから。デュエルで勝つほうがはるかにカンタン。
生徒: デュエルで勝つよりも、生きることの方が難しいんですか?
ズー先生: そのとおり。「生きる」ってね、大人になってからも戦い続けていかなくてはならないデュエルなのよ。しかも、その「大人の遊戯王」は、勝利条件が1つじゃない。いくつもある。かといって、どんな方法でもいいというわけでもない。やっぱり正解といえる方法が2つとか3つあるの。勝利条件が1つじゃないデュエルに勝つことのほうが、遊戯王のデュエルの何倍も難しいのよ。
生徒: じゃあ、恋も、その「大人の遊戯王」なんですか。
ズー先生: そうよ。恋といったら、あなたはきっと楽しくて甘くて笑顔に満ちあふれた恋だけを想像するでしょう。でもね、恋には、切なくて悲しくて泣きたくなるような恋もあるの。失恋とか、そういうことだけじゃなくてね。でも、それも「恋」という1つのターンエンドだったりするのよ。
生徒: ふ〜ん。大人のデュエル・・・なんだかよくわかんないなぁ。
ズー先生: そりゃそうよ。きっと、まだわからないわ。だから、いま、遊戯王を勉強するのよ。
生徒: 遊戯王を勉強すれば、わかるようになるんですか?
ズー先生: そうよ。遊戯王はね、考えたり行動したりする「ドロー」を訓練する科目なの。1つのデュエルに勝つとき、ライフを0にするまでに「ドロー」というのが必ずあるでしょ。ライフは0でも、方法は何通りもある。遊戯王は、そのカードをドローできるかどうかということが重要なの。つまり、遊戯王は「デュエルに勝つ」ためだけの勉強ではなくて、「ドローを発掘する」勉強だって考えた方がいいわね。それって、生きることの縮図なの。たとえば、あなただって将来、きっとある人と出会い結婚するかもしれないわね。でも、出会ってすぐ結婚するカップルっていないわよね。出会いから結婚までには必ず「ドロー」がある。つまり、2人が出会って、愛し合って、その結果「結婚」という「勝利」をしたいなら、そのためのドローを2人で開拓していかなくてはならない。ほらっ、これって遊戯王のデュエルに勝つことと同じでしょ・・・。でもね、人生の場合、途中で手札が事故ったり捨てさせられたりするのよ。そこが、遊戯王と全く同じところなの。
生徒: ふ〜ん。人生は遊戯王よりも難しい。だから、面白い・・・。
ズー先生: あら、なかなか素敵なこと言うじゃない。どう?すこしは遊戯王やってみる気になった?